生きもの図鑑
ヤシの木?
中庭に木のように見えない植物があります。木の幹の部分は毛のようなものでおおわれていて,一番上にうちわの骨組みのような大きな葉がついています。高さは6mを越えるほど高い木です。
シュロ(Trachycarpus シュロ属)の木です。南国によく植えられるヤシの仲間なので,似た形をしています。皮の部分(樹皮:じゅひ)はネットのようになっていて,はがして排水溝のごみ取りに利用したり,あんでシュロ縄にしたり,ほうきの毛の部分に使ったりします。葉の根元に花が咲きます。
シュロには,ワジュロ(和棕櫚)とトウジュロ(唐棕櫚)があり,2つの雑種をアイジュロ(合棕櫚)というそうです。見分け方は,葉が垂れ下がるのがワジュロ,垂れ下がらないのがトウジュロ,その中間がアイジュロだそうですが,中庭にあるシュロはアイジュロのようです。
ハルジオンとヒメジョオン(似ている植物パート5)
ハルジオンが咲き終わり,中庭の草が刈り取られました。その後,再びハルジオンそっくりな草が生えてきました。ヒメジョオン(Erigeron annuus)という植物です。
漢字で書くとハルジオンは春紫苑,ヒメジョオンは姫女苑です。両方とも紫苑(シオン)ですが,ヒメシオンという別の植物があり,区別するためあえてジョオンと呼ぶようになったそうです。
花を見ただけでは区別がつきにくいですが,くきの中や葉の付き方にそれぞれ特徴があるので,見分けてみましょう。ハルジオンは,くきの中が空っぽで葉は茎を包むようにつきます。ヒメジョオンは,くきの中がつまっていて葉はくきを包みこまずにつきます。見分け方は,小学3年の理科の教科書にも載っていますので,見てみましょう。
ハルジオンのくきの内部
ヒメジョオンのくきの内部
中庭の池
臨時休校も終わりを迎え,6月からは通常登校になります。休校中,平日の毎日戸祭小の自然をお伝えしてきましたが,6月からは不定期になります。しかし,戸祭小の自然の様子をできる限りたくさんお伝えしたいと思います。
5月最後は,池の中にピンク色のスイレン(属名:Nymphaea)が咲き始めたので紹介します。根が水中にあり,葉が水面に浮かんでいます。花は造花をのような整った形です。花が開いたり閉じたりを繰り返すため,睡眠をとるかのような蓮「睡蓮(すいれん)」と呼ばれています。
ハスとは違い,根を食用(蓮根:れんこん)にすることはありません。メダカなど魚と一緒に育てると池の水もきれいに保つことができ,スイレンが育ちやすい環境になります。また,魚をねらって鳥類も飛んできます。陸上だけでなく水辺の環境もある戸祭小の校庭は,自然観察が楽しめる所です。ぜひ,観察をしてみてください。
バタフライガーデン
成虫が蜜を吸うための花や幼虫のエサとなる食草がたくさんあれば,校庭にチョウを呼び寄せることができます。チョウを集めるために植物を植えた庭をバタフライガーデンと言います。小学3年生は理科でチョウについての学習がありますから,実物を見たりふれたりしながら育てる体験をさせてあげたいので,毎年校庭にチョウがいないと困ります。そこで,戸祭小の中庭もバタフライガーデンにしようと整備しています。
たくさんの花はもちろんのこと,ヤマトシジミが食べるカタバミやモンシロチョウのアブラナ科植物,アゲハのかんきつ類の樹木などがあります。カタバミは雑草化していますし,先日紹介したアブラナやムラサキハナナ,3年生の教材園にはコマツナやキャベツ,樹木としてミカンやサンショウを植えています。これからチョウの舞う中庭になると思います。
サンショウ
ミカン
コマツナとキャベツ
ぺんぺん草
雑草でも私たちに親しまれている種類があります。その中の一つである
ナズナ(Capsella bursa-pastoris)は,七草がゆの一つの具として有名です。七草がゆは,正月を過ぎ,ごちそうを食べた胃を休めるため人日の節句である1月7日に食べる習慣になっているようです。同じアブラナ科のタネツケバナ(Cardamine scutata)と間違えやすいですが,ナズナは「ぺんぺん草」と呼ばれるように,三味線のばちに似た実の形に特徴があるので,見分けがつきます。
ナズナ
マメグンバイナズナ
ナズナの実の部分をさくようにしてふって音を出すいう遊びもあり,とても親しみやすい雑草です。似た植物でマメグンバイナズナ(Lepidium virginicum)というのもあります。
ポ・テ・ト
6年生と給食委員会の教材園では,つぼみをもった植物が育っています。使う部分は地上部でなく土の中です。これはジャガイモ(Solanum tuberosum L. )です。名前の由来は,ジャワのジャガトラ(ジャカルタ)から伝わったいもということで,ジャガタラいもがジャガイモと変化したという説があります。
すでに花が咲き,花の後には実がなることがあるのですが,この実は食用にしませ
ん。どんな実になるかは,できたとき見てください。ただ,ジャガイモはナス科の植物なので,大体の想像はできます。
いもとして養分(でんぷん)をたくわえている部分が食用で,馬鈴薯(ばれいしょ)という品種のでんぷんを「片栗粉」として売っています。元々は春先に林の中に咲くカタクリの根からとったでんぷんが片栗粉なのですが,たくさんとるのが大変なため代用しています。ちなみに,ジャガイモのいもは植物体の部分で言うと茎になります。葉の光合成で作られたでんぷんをたくわえて茎が肥大化したものがジャガイモです。
青葉の校庭
木々が葉をたくさん茂らし,すっかり青葉となっています。
3月下旬
まだ開花宣言が出ていない頃 つぼみがついてうっすらと木が赤く見えます。
4月上旬
よく日の当たる暖かい所から開花していきました。
4月上旬
ほぼ満開です。
4月上旬
満開を過ぎ,花びらが散り始めています。風が吹くと一斉に花びらが
舞います。
4月中旬
花びらはすっかり散ってしまいました。赤く残るのはしべを含めた花柄です。
5月上旬
ソメイヨシノは,花の後に葉が出ます。青葉で覆いつくされています。
花びらが散った後 葉がきれいに開いています
ソメイヨシノのさくらんぼ
花の時期には,ウグイスやヒヨドリ,ムクドリなどの鳥類がひっきりなしに飛
んできていました。また葉が生い茂り始めてからは,スズメやカラス,カッコウ
などが飛んで来ています。植物と動物の関係も調べてみましょう。
新種のタンポポ?(似ている植物パート4)
そんな声が聞こえてきそうな様子ですが,近くに寄って見てみるとタンポポより細身です。花の形からタンポポと同じキク科の植物だと想像がつきますが…
中庭に群生しているこの花は,イワニガナとか ジシバリ(Ixeris stolonifera)と呼ばれる植物です。タンポポとイワニガナの見分け方は,葉のふちの様子です。タンポポは細長く切れ込みが深いためギザギザしています。イワニガナは円い葉がたくさん根本につきます。根が地面に広がり,しばりつけるように見えるため,地縛り(しじばり)と言われるようになりました。
花のシャワー
花の散り方が不思議で,花の形のままゆらゆらと散ります。風が吹くと一斉に落ちてきますので,木の下にいると甘い香りのシャワーを浴びているかのようです。
木は将棋の駒に利用されることがあるそうです。また,青い実は昔,石鹸(せっけん)の代わりに使われたようです。熟した実は,火で炒ったコーヒー豆のような形でエゴサポニンという毒が含まれるため食用になりません。
カラスとスズメ(似ている植物パート3)
カラスノエンドウ(Vicia sativa subsp. nigra ヤハズエンドウとも言われる)とスズメノエンドウ(Vicia hirsuta)です。エンドウという名前の通りマメ科の植物です。カラスノエンドウは,花の後に枝豆のようなさやができ,熟すとだんだん黒くなります。その色がカラスの色と同色であることから名づけられました。スズメノエンドウは,花もさやも小さく小さな鳥に例えて名づけられました。ほかに,カラスウリとスズメウリも大きさを比較して名前が付けられました。
さて,自然は不思議なもので形は似ているにもかかわらず,カラスノエンドウほど大きくなく,スズメノエンドウほど小さくない種類があります。なじみのある中型の鳥が思い浮かびますか?名づけようとした人も思い浮かばなかったのかもしれません。カラスとスズメの中間であることから,カラスの「カ」とスズメの「ス」を取り,その間を意味する「間(マ)」を使ってカスマグサ(Vicia tetrasperma)と名付けられました。
戸祭小では,カラスノエンドウは見つけました。スズメノエンドウは,今年別の所で見つけて来て移植しました。カスマグサはまだ見つけられていません。見つけた方はぜひ教えてください。
カラスノエンドウ
青くさい香り
今回は,画像や言葉では伝わらないにおいに特徴がある草本です。以前,ハーブ類の紹介をしました。シソ科の植物は大体,葉や茎に香りがあり,それを人々は利用してきました。下の写真は,ムラサキ科のキュウリグサ(Trigonotis peduncularis)です。
名前の由来は,葉をもむときゅうりのような青くさいかおりがすることからきています。オオイヌノフグリのような青い花で,大きさは3~5㎜でとても小さいです。中庭や多目的室北側など,いろいろな場所で雑草化しています。見つけたらぜひ,葉を採って香りを体感してみてください。
わたしたちの県の木
花から蜂蜜を取ることが多く,栃木県庁では数年前トチノキの蜂蜜を作るプロジェクトを行っていました。また,夏に実るトチの実は栗のような光沢があり,しぶ抜きをしてとちもちにして食べられます。小学3年生の国語で学習した「モチモチの木」とはまさにこの木のことで,「モチモチ」とはとちもちを作ることからきています。
栃木県のゆるキャラである「とちまるくん」の頭は,このトチの実の形で,実の切れこみのような部分も表現されています。トチの葉がリボンのようについていて栃木県のマスコットとして活躍しています。
秋には葉を落とす落葉樹ですが,すでに来年芽生える冬芽ができています。この冬芽には特徴があり,あめのようにねばねばした液でおおわれています。
似ている植物 パート2
もっと近くで見てみましょう。何となく花の違いが分かりますか?
左側の写真は,カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)というシソ科の植物です。葉が円く,硬貨のような形なので連銭草(れんせんそう)という別名もあります。シソの仲間らしく葉をもむと香ります。乾燥させて漢方薬にもするそうです。
右側の写真は,ムラサキサギゴケ(Mazus miquelii)というハエドクソウ科の植物です。花の中心に黄色い模様があります。
白い飾りのような花
名前の由来は,枝を切ると水がしたたり落ちるように出ることからだそうです。樹木の水の吸い上げがとても強いことから,そのようになるのでしょう。
また,木工製品の材料としても使われ,代表的なものは,宮城県鳴子の民芸品のこけしだそうです。
開いたり 閉じたり
校庭のすみの所にあざやかな黄色い花が咲いています。葉はハートのような形をしていてクローバーに似ています。日本の名前(和名と言います)葉が欠けたように見えることから,片喰(かたばみ)と名付けられたそうです。葉の色が赤いアカカタバミ(Oxalis corniculata. f. rubrifolia)など種類も多いです。
このカタバミは,昼間(晴れている日)と夜間(雨やくもりの日)で様子が違います。花や葉が開いたり閉じたりします(下写真)。就眠運動(しゅうみんうんどう)と言って,光などの刺激により,花や葉の根元の部分がふくらんだりちぢんだりして動きます。その運動の代表例が,触った刺激によって葉が閉じるオジギソウです。
しぶとい雑草ですが,葉にはすっぱい成分(酸)があり,よごれた(さびた)10円玉にこすりつけると,よごれが落ちます。また,漢方薬としても利用されます。
カタバミを食用としているチョウの幼虫もいます。水色でシジミ貝のように小さいシジミチョウの仲間のヤマトシジミ(画像がないので図鑑で見てください!)です。3年生の理科で学習したモンシロチョウはアブラナ科の葉,アゲハチョウはかんきつ類等の葉,国蝶に指定されているオオムラサキはエノキの葉といったように,種類によって植物が違います。進化の過程で食用にする植物が分かれることで,チョウ同士が競い合うことなく食物を得られるので,そのチョウの種類が続くことになります。
食べられる?
中庭にイチゴが実りました。とは言っても,1cmに満たない小さなイチゴです。ヘビイチゴ(Potentilla hebiichigoYonek. et H.Ohashi)と言います。名前から「ヘビが食べるイチゴ」とか「毒があるイチゴ」とか言われますが,ヘビが食べるわけではないし,毒があるわけではありません。ただ,人が食べてもおいしいとは感じません。表面のつぶつぶは,種子です。イチゴ類は実ではなく,花が咲いたあとに残る花托(かたく)が大きくなったもので偽果(ぎか)という分類に入ります。
花は黄色く,5枚の花弁がプロペラのように並んでいます。また,茎を長く伸ばし地面をはうように広がります。
ハナミズキ
アメリカから送られたので,アメリカハナミズキとも言われます。また,似たような種類でヤマボウシ(中庭にあります。過去の「戸祭小の自然観察」参照)があり,アメリカヤマボウシとも言われます。街路樹にも使われ,きれいです。色がきれいな部分は実は,花びら(花弁)ではありません。植物学的に言うと,総苞片(そうほうへん)という部分で,葉が変形したものだそうです。花は中心に固まっている部分です。草本のドクダミなどもこの総苞片が花のように見えます。
戸祭小はキンモクセイの隣と西門にふちがピンクで白色のものが,玄関前に赤いもの,中庭にピンク色のものが咲く樹木があります。楕円形の赤く硬い実がなります。
ミズキという種類の樹木があり(中庭にあるので後で紹介します),木を切ると水がしたたるように出てくることからこの名前がついたそうです。
長持ちする花
花もちがよく,校庭のパンジーは昨年度に栽培委員会の子どもたちが植え替えてからずっと咲いています。このパンシーの苗は,宇都宮白楊高校の生徒たちが育てた物です。白楊高は農業系の科もあり,園芸の実習をしています。
校内のパンジーの花の色は何種類あるのでしょうか?まだまだ花が見られますので,学校に登校した時に調べてみましょう。
王者の印
さて,この常緑樹はギリシャ神話のアポロンの木とされていて,昔から競技の勝利者にはこの樹木の葉で作られた冠(かんむり)がかぶせられます。マラソン大会などで優勝者が頭につけてインタビューを受ける姿を見たことがあるかもしれません。ゲッケイジュ(Laurus nobilis)という樹木です。ツバキやキンモクセイのように,葉が寒さにも耐えられるよう厚手になっていて照葉樹という仲間分けもされます。
ゲッケイジュの葉は,乾燥させるとよい香りがするため料理の香辛料に使われます。ローリエ(ローレル)と呼ばれて売られています。
雄花が咲く樹木と雌花が咲く樹木があり,両方の樹木がないと受粉できないため,なかなか実を見る機会が少ないです。戸祭小は雄花が咲く木です。
また,幹(樹木の根元から出ている太い部分)の表面(樹皮:「じゅひ」と言います)はざらざらしています。樹皮の特徴(とくちょう)で樹木を調べることもできます。樹皮に紙を当てて,鉛筆やクレヨンなどでこすってみると模様が写しとれるフロッタージュを使って記録するのもよいです。
クローバー
この草は,シバのように地面をおおうように生えるため,庭のグランドカバーとしても植えられます。ゲンゲと同じくマメ科の植物で,根には根粒菌があるため土の窒素(ちっそ)分として有用です。似た種類にムラサキツメクサ(アカツメクサ:Trifolium pratense)という草があります。
さて,せっかく見つけた四つ葉のクローバーをとっておきたいですが,数日でしおれてしまいます。そこで押し葉にして保存しましょう。博物館などで保管されているものも押し葉であり,乾燥標本と言います。簡単に押し葉にする方法を教えます。
まず,ティッシュの上にのせて形を整えます。そして,上にもう一枚ティッシュをかぶせます。次に,新聞紙など水分を吸い取る紙で上下をはさみ,平らな所に置きます。最後に重しとして,本を数冊重ねておきます。2,3日でアイロンをかけたようにきれいな押し葉ができます。ちなみに,花でもできます。完成したら,画用紙等硬い紙に貼って保存するとよいです。ラミネートができるならしておくとよいです。下の写真は,ラミネートしてしおりにしたものです。
見ごたえがある花
ノダフジ( Wisteria floribunda)
つぼみ 少しずつ開花しています
足利フラワーパークのフジはとても有名ですが,現在休園中で見られません。
中庭のじゅうたん
コケ類はさらに3つに分けられますが,種類については似たようなものが多く,名前を特定(同定)しようとしましたが,自信がないです。もしご存知の方がおりましたら教えてください。
もち草
まず,草もちの材料として使う場合は,やわらかそうな部分をつんで,重そうで煮込んでさらにやわらかくしたものをもちに混ぜ込みます。葉の緑色の発色がよく,香りもよいので春を味わうのにとても良いです。先人の知恵を感じます。
薬用としては,漢方薬で「がい葉」という名前で使われています。血止めや痛み止め,げり止めとしての効果があるそうです。
また,葉を乾燥させてくだくと,葉の裏側に生えていた細かい毛が綿のように集まります。それを「もぐさ」と言い,お灸(きゅう)として使われるそうです。
そのほかに,海や川にもぐるときに使う水中めがねのガラス面に葉をこすりつけると,くもらないという効果もあるそうです。身近な有用植物です。
チューリップ
春の花というと思い浮かぶほど有名ですが,調べてみると不思議なこともいっぱいあります。
①チューリップというとオランダが有名ですが,どんな関係があるのでしょうか?
②日本の都道府県でオランダと友好関係を結んでいる都市があります。その都道府 県の花はチューリップです。その都市はどこでしょうか?
③チューリップはふつう球根を植えて育てます。なぜ球根なのでしょうか?ちなみ
に,球根はたね(種子)ではありません。
④チューリップの花びら(花弁)は何枚ありますか?
チューリップのたねを見たことがありますか?花にめしべとおしべがあるので,できてもよいのですが,実際は花後,次の年のために花を切り取り球根を太らせてほり上げるので,たねが熟す前しか分かりません。ちょうど,多目的室北側にチューリップが自生していましたので,人工授粉しておきましたので,もしかするとたねができるかもしれません。
おしべとめしべ 受粉するとめしべがこんな風に…
木本類(もくほんるい)
南校舎玄関前の植え込みに白い花が咲きました。
この花は,シロヤマブキ(Rhodotypos scandens)と言います。オレンジがかった黄色のことを山吹色(やまぶきいろ)と言いますが,そのヤマブキ(Kerria japonica)とは同じバラ科ですが,「属」が違います。名前にヤマブキとつきますが,ヤマブキの白色花種ではありません。花びら(花弁)は4枚あり,花後に黒い実が実ります。
ゲンゲ
この花は,別名レンゲ(Astragalus sinicus L.)と言います。みなさんは別名の方が分かりやすかったでしょうか?
この花の蜜ははちみつとして売られていることもあります。最近では少なくなりましたが,田んぼに水をはる前に一面のレンゲ畑にし,レンゲごと土にすきこみます。そうすることで肥料(緑肥と言います)として役立ちます。レンゲなどのマメ科の植物は特殊な生態で,根に根粒菌(こんりゅうきん)が着きます。その根粒菌が空中の窒素(ちっそ)をため込むことができるのです(空中窒素固定)。植物の育ちに必要な養分は,リンと窒素とカリウムですので,わざわざ窒素肥料をまかなくても植物が育ちやすいのです。
なのはな
実は「なのはな」というのは,「菜っ葉の花」という意味で,大体はアブラナの花のことを指します。アブラナ科の花は「なのはな」と言われます。下の花の写真を見てください。花びら(花弁)が4枚あり,足し算の「+」のような形にならんでいますので,十字花とも呼ばれます。花のつくりが単純で,花のしくみを知る学習でよく使われます。
アブラナ(Brassica rapa L. var. nippo-oleifera)
オオアラセイトウ(Orychophragmus violaceus)
※ムラサキハナナ,ショカツサイ,ハナダイコンとも呼ばれる。
アブラナは青木先生が,オオアラセイトウは野澤先生が自宅から持って来てくださり,中庭の教材園に植えてあります。来年はこぼれダネで自生するとよいと考えています。
花のつくりを観察してみましょう。小学5年理科でも学習しますので,参考にしてください。野澤先生がピンセットで花を分解してくれました。
アブラナ(写真上側)とオオアラセイトウ(写真下側)の花の分解
写真左はしから,花びら(花弁)4枚,がく(がく片)4枚,おしべ6本,めしべ1本,
それぞれの花粉プレパラート,花
さらにミクロの世界から花粉を見てみましょう。おしべの先の突起(葯:やく)の中に黄色い花粉が入っています。一粒一粒の形は,小学校にある光学けんびきょうででも観察できます。下の写真が学校のけんびきょうで花粉を拡大し,デジタルカメラで撮影したものです。
アブラナの花粉(15×40) オオアラセイトウの花粉(15×40)
似た形の花粉ですね。この花粉がめしべの先に着く(受粉する)と実ができ,中にタネができます。
アブラナの若い葉やくきはおひたしなどで食べられますし,セイヨウアブラナ(Brassica napus)のタネは菜種油(なたねあぶら,サラダ油)として活用されます。アブラナだけでなく,同じような花のつくりの植物は,全てアブラナ科です。よく花をかんさつして見つけてみましょう。
ダンデライオン
さて,下の写真の花は何という名前でしょうか?
ほとんどの方が分かったと思いますが,答えはタンポポです。どこでも見られる花ですが,調べてみるととても奥が深い植物です。小学2年生の国語では,「たんぽぽのちえ」という読み物を使って学習します。「ちえ」とはどのようなものなのでしょうか?
・ タンポポにはいろいろな種類がありますが,よく見られるのは外来種のセイヨ
ウタンポポです。ほかにどんな種類があるでしょうか?
・ 日当たりがよく温暖な場所では一年中花を咲かせます。
・ 花が咲くくきのような部分(花茎:かけい)がとても短い個体ととても長い個体があります。どうしてそのような違いがあるのでしょうか?
・ 草なのに一年中葉が枯れずに生えています。どのような仕組みになっているのでしょうか?
・ タンポポは綿毛が付いたタネができ,風に乗って分布を広げます。また,根を切ってもその根から新しい葉や茎が生えてきます。なぜこれほど生命力が強いのでしょうか?
・ タンポポの根を見たことがありますか?大きなタンポポを見つけたら掘ってましょう。
・ 夜や雨の日は花がどのようになっているのでしょうか?
学校も至る所に生えています。みなさんの家の近くでも探して観察してみましょう。
紫色のベル
多目的室の北側の地面にブドウの房のような花が咲いています。これはムスカリという植物です(品種はムスカリアルメニアカム。普通は花壇やプランターに球根を植え,観賞用として親しまれている花です。ではなぜこのようなところに生えているのでしょうか?これは想像ですが,以前花壇やプランターで育てていましたが,土を入れ替えるために球根ごと捨てられたのではないかと思います。それが野生化して毎年芽を出し,花を咲かせているのでしょう。花は根に近い方から咲きます。本校では群生していますので,地面をきれいに彩っています。
戸祭小の自然の様子
学校が臨時休業に入り,ひと月以上たちました。お子様たちに,そしてご家庭に大変な思いをさせてしまって申し訳ございません。何とか新型コロナウイルスの感染拡大を押さえるためもうしばらくご協力お願いします。
学習活動では,生活科や理科に限らず,校庭の自然を利用することが多いのですが,時期が過ぎると観察できなくなってしまいます。そこで,本校ホームページの「戸祭小の自然観察利用して,皆様に現在の様子をお届けしようと思います。臨時休業中(土日祝祭日を除く)毎日校庭の見どころをお知らせいたします。
ホトケノザ(Lamium amplexicaule)とヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)
春はたくさんの植物が芽吹いたり,花を咲かせたりします。「雑草」呼ばれる草も例外ではなく,あっという間にたくさん生えて群落をつくります。その中でも,似たホトケノザとヒメオドリコソウは,体育館の東側の植え込みに隣り合って群落をつくっています。ホトケノザは赤紫色,ヒメオドリコソウはピンク色の小さな花をつけています。つみ取ってくきの断面を観察してみると,どちらも四角です。これはシソ科の特徴で同じ仲間だと分かります。花の後にできるタネも見分けがつかないほどそっくりです。
ホトケノザ ヒメオドリコソウ
戸祭小のフルーツ
ビ ワ Eriobotrya japonica
今年は中庭のビワの木に果実がたわわに実りました。
ビワには濃い緑色の大きな葉が年中ついているため,花は褐色のつぼみから白い花弁が開きますが,あまり目立ちません。
しかし,花を咲き終え,やがて熟した果実は鮮やかなオレンジ色をしていて,南国のフルーツをイメージさせます。果肉が甘く,高級フルーツとして食べられています。
また,葉や種子は薬用に使われ,有用樹木として庭木で植えられます。
本校のビワの木には,果実を求めて鳥が集まってきています。
校庭のサクラ
今年も校庭のサクラの花が見事に咲き,心を和ませてくれました。
本校のサクラは,校庭の南側と西側に全部で15本あり,どれも立派な幹の樹木です。このうち,南門の東側は,全く樹形の異なるサクラとイチョウが交互に植えられています。
一般的にサクラというと,ソメイヨシノという品種のサクラを指します。花が多く,見ごたえがあります。戸祭小のサクラもほとんどがこの品種ですが,実は4本だけ異なる品種が植えてあるのをご存知ですか? 見つけてみてください。
(こたえは下にあります。)
(こたえ)校庭の南側高鉄棒の辺りと東門脇に,ヤマザクラとオオシマザクラの系統
であるサクラがあります。
源氏と平氏 咲き分け梅
本校の中庭に立派なウメの木が1本あります。
その花をよく見ると,1本の木に白梅と紅梅が咲いています。これは「源平咲き」と言って,白梅は源氏の旗の色,紅梅は平氏の旗の色だったことに由来しています。
ウメは紅梅が基本ですが,樹齢が増すと,徐々に色素が薄まり,白梅になるそうです。野生のウメは白なので,紅梅が先祖がえりをした形です。
「思いのまま」という品種かも知れません。
◆紅葉の見頃◆
校庭の木々が,紅葉(黄葉)のピークを迎えました。単に赤や黄,茶だけでは表現できない,葉の色のグラデーションがとても素敵です。朝日や夕日に照らされると,幻想的な景色になります。また,常緑の葉もあることで,コントラストがよりはっきりと浮かび上がります。
紅葉は木の冬支度であり,寒さに耐えるため葉を落とします。その葉が土壌に落ちることにより,腐葉土となって養分に変わります。落ち葉は集めて,一部を教材園の腐葉土として活用したり,児童の生活科や理科の学習で使ったりします。
モミジだけでなく,イチョウ,サクラ,ハナミズキ,ドウダンツツジ,など‥‥
皆さんはいくつ見つけられますか?
戸祭小の金と銀
ギンモクセイ Osmanthus fragrans
今年の秋も,風に乗って甘い香りが校庭に漂っています。体育館の南にある立派なキンモクセイの花の香りです。香りだけでなく,見た目もオレンジ色の小さな花をたわわにつけて,とてもきれいです。また,花が散ると地面はオレンジ色のじゅうたんを敷いたようになります。日本には雄株しかなく,実はなりませんが,挿し木で増やすことができます。
キンモクセイと対をなすように,コミュニティーセンター前にはギンモクセイがあります。こちらは白い花を少しつけ,ほんのりとした香りを漂わせます。ギンモクセイは,キンモクセイの元になった植物で,キンモクセイはギンモクセイの変種に当たります。
▼キンモクセイ
▼ギンモクセイ
暑い夏 さわやかに
ミント類は葉をもんでにおいをかぐと,そう快な香りがします。食品や芳香剤等によく使われています。また,この時期は花も楽しめます。シソ科の植物ですので,茎の断面が四角です。繁殖力もあり,ランナーと呼ばれる茎をのばして増えます。さし芽でもすぐ根が生えます。
本校では西門の脇の植え込みにスペアミントが,コミュニティーセンター入口前の植え込みにペパーミントがあります。
豪華な花ですね!
花火のような花が咲いているこの木は,サルスベリです。
濃いピンク色の鮮やかな花をたくさん咲かせています。遠くから見ると,小さな花が集まっているように見えますが,実際には結構大きな花です。
サルスベリは,成長とともに木の皮(樹皮)がむけて新しい皮になるため,表面がツルツルしています。そのことから,木登りの得意なサルでも滑ってしまう木ということで,この名前がついています。
サルスベリ以外にも表面がツルツルしている木としては,ナツツバキやリョウブ等もあるので間違いやすいです。
花が長い期間咲くことから,「百日紅」と表すこともあります。戸祭小では,体育館前のキンモクセイの隣りと中庭にあります。
梅雨どきと言えば・・・
雨が降り,じめじめした日が続くと,気持ちが滅入ってしまいますね。でも,アジサイを見るとそんな気持ちが少し和らぎます。アジサイの花は,中心の粒みたいな部分が本当の花で,周りの色鮮やかな部分は「がく」です。昔から花を楽しむために品種改良が盛んに行われ,色・形などたくさんの種類があります。江戸時代に日本に来ていたドイツ人の医師で植物学にも詳しかったシーボルトは,アジサイをヨーロッパに紹介したそうです。
本校には,西門付近と北側フェンス(給食室の裏)に,数種類のアジサイがあります。
白いかざぐるま?
中庭にたくさんのかざぐるまが!! 実はヤマボウシの花です。花びらのように見える白い部分は総苞片(そうほうへん)と呼ばれるもので,その中心に花があります。花が咲き終わった後には,甘いオレンジ色の実がなります。一方,校舎西側や体育館南側の似たような花が咲く樹木は,ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)です。
戸祭小のシンボルツリー
校内北側にある大木です。木の大きさよりも松ぼっくりの大きさに驚きます。20~30cmになり,地面に落ちると大きな音が鳴ります。毎年花も咲き,古い松ぼっくりは更新されます。葉は3本でとても長く,まれに4本葉も見られます。