戸祭小の自然観察

生きもの図鑑

食べられる?

 
 中庭にイチゴが実りました。とは言っても,1cmに満たない小さなイチゴです。ヘビイチゴ(Potentilla hebiichigoYonek. et H.Ohashi)と言います。名前から「ヘビが食べるイチゴ」とか「毒があるイチゴ」とか言われますが,ヘビが食べるわけではないし,毒があるわけではありません。ただ,人が食べてもおいしいとは感じません。表面のつぶつぶは,種子です。イチゴ類は実ではなく,花が咲いたあとに残る花托(かたく)が大きくなったもので偽果(ぎか)という分類に入ります。
 花は黄色く,5枚の花弁がプロペラのように並んでいます。また,茎を長く伸ばし地面をはうように広がります。
  

          

ハナミズキ

ハナミズキ(Cornus florida
   
 アメリカから送られたので,アメリカハナミズキとも言われます。また,似たような種類でヤマボウシ(中庭にあります。過去の「戸祭小の自然観察」参照)があり,アメリカヤマボウシとも言われます。街路樹にも使われ,きれいです。色がきれいな部分は実は,花びら(花弁)ではありません。植物学的に言うと,総苞片(そうほうへん)という部分で,葉が変形したものだそうです。花は中心に固まっている部分です。草本のドクダミなどもこの総苞片が花のように見えます。
 戸祭小はキンモクセイの隣と西門にふちがピンクで白色のものが,玄関前に赤いもの,中庭にピンク色のものが咲く樹木があります。楕円形の赤く硬い実がなります。
    
 ミズキという種類の樹木があり(中庭にあるので後で紹介します),木を切ると水がしたたるように出てくることからこの名前がついたそうです。 

長持ちする花

 花壇に植えてあるパンジー(Viola × wittrockiana)です。サンシキスミレとも言うことがあります。また,小ぶりの花がいくつかつく種類をビオラということもありますが,区別が難しいです。それは,たくさんの品種改良がされているからです。
 花もちがよく,校庭のパンジーは昨年度に栽培委員会の子どもたちが植え替えてからずっと咲いています。このパンシーの苗は,宇都宮白楊高校の生徒たちが育てた物です。白楊高は農業系の科もあり,園芸の実習をしています。
 校内のパンジーの花の色は何種類あるのでしょうか?まだまだ花が見られますので,学校に登校した時に調べてみましょう。
  
 
  

王者の印

 西門の所にたくさん黄色い花をつけた樹木(じゅもく)があります。葉は一年中緑色をしています。そのような樹木の仲間を常緑樹(じょうりょくじゅ)と言います。常緑樹以外の物は,紅葉したり葉を落とすので落葉樹(らくようじゅ)という仲間になります。
 さて,この常緑樹はギリシャ神話のアポロンの木とされていて,昔から競技の勝利者にはこの樹木の葉で作られた冠(かんむり)がかぶせられます。マラソン大会などで優勝者が頭につけてインタビューを受ける姿を見たことがあるかもしれません。ゲッケイジュ(Laurus nobilis)という樹木です。ツバキやキンモクセイのように,葉が寒さにも耐えられるよう厚手になっていて照葉樹という仲間分けもされます。
      
 ゲッケイジュの葉は,乾燥させるとよい香りがするため料理の香辛料に使われます。ローリエ(ローレル)と呼ばれて売られています。
          
 雄花が咲く樹木と雌花が咲く樹木があり,両方の樹木がないと受粉できないため,なかなか実を見る機会が少ないです。戸祭小は雄花が咲く木です。
    
 また,幹(樹木の根元から出ている太い部分)の表面(樹皮:「じゅひ」と言います)はざらざらしています。樹皮の特徴(とくちょう)で樹木を調べることもできます。樹皮に紙を当てて,鉛筆やクレヨンなどでこすってみると模様が写しとれるフロッタージュを使って記録するのもよいです。
          

クローバー

 「四つ葉を見つけると幸せになれる」そんな言い伝えがあり,探し回った人も多いのではないでしょうか?日本語の名前(和名)はシロツメクサ(Trifolium repens)と言い,白い花が咲きます。「ツメクサ」は,外国からガラス製品を運んでくる際に割れてしまわないように周りにつめるために使われた草という意味です。今では,ビニルのエアクッションなどが使われています。
 この草は,シバのように地面をおおうように生えるため,庭のグランドカバーとしても植えられます。ゲンゲと同じくマメ科の植物で,根には根粒菌があるため土の窒素(ちっそ)分として有用です。似た種類にムラサキツメクサ(アカツメクサ:Trifolium pratense)という草があります。
         
 さて,せっかく見つけた四つ葉のクローバーをとっておきたいですが,数日でしおれてしまいます。そこで押し葉にして保存しましょう。博物館などで保管されているものも押し葉であり,乾燥標本と言います。簡単に押し葉にする方法を教えます。
 まず,ティッシュの上にのせて形を整えます。そして,上にもう一枚ティッシュをかぶせます。次に,新聞紙など水分を吸い取る紙で上下をはさみ,平らな所に置きます。最後に重しとして,本を数冊重ねておきます。2,3日でアイロンをかけたようにきれいな押し葉ができます。ちなみに,花でもできます。完成したら,画用紙等硬い紙に貼って保存するとよいです。ラミネートができるならしておくとよいです。下の写真は,ラミネートしてしおりにしたものです。