戸祭小の自然観察

2020年5月の記事一覧

似ている植物 パート2

 以前,ヒメオドリコソウとホトケノザが似ていることを紹介しましたが,今日はさらに見分けがつけにくい花です。中庭に紫色の小さな花が地をはうように咲いています。花の形はヒメオドリコソウやホトケノザのような形ですが…
  
 もっと近くで見てみましょう。何となく花の違いが分かりますか?
  
 左側の写真は,カキドオシ(Glechoma hederacea subsp. grandis)というシソ科の植物です。葉が円く,硬貨のような形なので連銭草(れんせんそう)という別名もあります。シソの仲間らしく葉をもむと香ります。乾燥させて漢方薬にもするそうです。   
 右側の写真は,ムラサキサギゴケ(Mazus miquelii)というハエドクソウ科の植物です。花の中心に黄色い模様があります。

白い飾りのような花

 中庭の西はしに通路にかかるほど大きな木があります。ミズキ(Cornus controversa)という樹木です。春に小さな花が集まるように咲き,黒っぽい実がなります。
   
 名前の由来は,枝を切ると水がしたたり落ちるように出ることからだそうです。樹木の水の吸い上げがとても強いことから,そのようになるのでしょう。
 また,木工製品の材料としても使われ,代表的なものは,宮城県鳴子の民芸品のこけしだそうです。

開いたり 閉じたり

    カタバミ(Oxalis corniculata)
  
 校庭のすみの所にあざやかな黄色い花が咲いています。葉はハートのような形をしていてクローバーに似ています。日本の名前(和名と言います)葉が欠けたように見えることから,片喰(かたばみ)と名付けられたそうです。葉の色が赤いアカカタバミ(Oxalis corniculata. f. rubrifolia)など種類も多いです。
 このカタバミは,昼間(晴れている日)と夜間(雨やくもりの日)で様子が違います。花や葉が開いたり閉じたりします(下写真)。就眠運動(しゅうみんうんどう)と言って,光などの刺激により,花や葉の根元の部分がふくらんだりちぢんだりして動きます。その運動の代表例が,触った刺激によって葉が閉じるオジギソウです。
          
 しぶとい雑草ですが,葉にはすっぱい成分(酸)があり,よごれた(さびた)10円玉にこすりつけると,よごれが落ちます。また,漢方薬としても利用されます。
 カタバミを食用としているチョウの幼虫もいます。水色でシジミ貝のように小さいシジミチョウの仲間のヤマトシジミ(画像がないので図鑑で見てください!)です。3年生の理科で学習したモンシロチョウはアブラナ科の葉,アゲハチョウはかんきつ類等の葉,国蝶に指定されているオオムラサキはエノキの葉といったように,種類によって植物が違います。進化の過程で食用にする植物が分かれることで,チョウ同士が競い合うことなく食物を得られるので,そのチョウの種類が続くことになります。

食べられる?

 
 中庭にイチゴが実りました。とは言っても,1cmに満たない小さなイチゴです。ヘビイチゴ(Potentilla hebiichigoYonek. et H.Ohashi)と言います。名前から「ヘビが食べるイチゴ」とか「毒があるイチゴ」とか言われますが,ヘビが食べるわけではないし,毒があるわけではありません。ただ,人が食べてもおいしいとは感じません。表面のつぶつぶは,種子です。イチゴ類は実ではなく,花が咲いたあとに残る花托(かたく)が大きくなったもので偽果(ぎか)という分類に入ります。
 花は黄色く,5枚の花弁がプロペラのように並んでいます。また,茎を長く伸ばし地面をはうように広がります。
  

          

ハナミズキ

ハナミズキ(Cornus florida
   
 アメリカから送られたので,アメリカハナミズキとも言われます。また,似たような種類でヤマボウシ(中庭にあります。過去の「戸祭小の自然観察」参照)があり,アメリカヤマボウシとも言われます。街路樹にも使われ,きれいです。色がきれいな部分は実は,花びら(花弁)ではありません。植物学的に言うと,総苞片(そうほうへん)という部分で,葉が変形したものだそうです。花は中心に固まっている部分です。草本のドクダミなどもこの総苞片が花のように見えます。
 戸祭小はキンモクセイの隣と西門にふちがピンクで白色のものが,玄関前に赤いもの,中庭にピンク色のものが咲く樹木があります。楕円形の赤く硬い実がなります。
    
 ミズキという種類の樹木があり(中庭にあるので後で紹介します),木を切ると水がしたたるように出てくることからこの名前がついたそうです。