戸祭小の自然観察

2020年4月の記事一覧

クローバー

 「四つ葉を見つけると幸せになれる」そんな言い伝えがあり,探し回った人も多いのではないでしょうか?日本語の名前(和名)はシロツメクサ(Trifolium repens)と言い,白い花が咲きます。「ツメクサ」は,外国からガラス製品を運んでくる際に割れてしまわないように周りにつめるために使われた草という意味です。今では,ビニルのエアクッションなどが使われています。
 この草は,シバのように地面をおおうように生えるため,庭のグランドカバーとしても植えられます。ゲンゲと同じくマメ科の植物で,根には根粒菌があるため土の窒素(ちっそ)分として有用です。似た種類にムラサキツメクサ(アカツメクサ:Trifolium pratense)という草があります。
         
 さて,せっかく見つけた四つ葉のクローバーをとっておきたいですが,数日でしおれてしまいます。そこで押し葉にして保存しましょう。博物館などで保管されているものも押し葉であり,乾燥標本と言います。簡単に押し葉にする方法を教えます。
 まず,ティッシュの上にのせて形を整えます。そして,上にもう一枚ティッシュをかぶせます。次に,新聞紙など水分を吸い取る紙で上下をはさみ,平らな所に置きます。最後に重しとして,本を数冊重ねておきます。2,3日でアイロンをかけたようにきれいな押し葉ができます。ちなみに,花でもできます。完成したら,画用紙等硬い紙に貼って保存するとよいです。ラミネートができるならしておくとよいです。下の写真は,ラミネートしてしおりにしたものです。
      

見ごたえがある花

 玄関前の棚に淡い紫色の花がブドウのようについています。フジ(ノダフジ)です。花が垂れ下がり,風にゆれる姿は何とも涼しげに見えます。花が咲くと甘い香りがただよい,ハチ(クマバチ)が蜜を集めに飛んできます。つる性の木本でからみつくため,棚に絡ませて,藤棚(ふじだな)に仕立てて鑑賞しています。花の後にはさやができるため,マメ科の植物であることが分かります。実はさやが乾燥してねじれることで,中の種子をはじき飛ばします。そうすることで,種子を広範囲に散布することができます。ホウセンカも同じような種子散布の仕方をしますね。
             ノダフジ( Wisteria floribunda)
   
         つぼみ            少しずつ開花しています
 足利フラワーパークのフジはとても有名ですが,現在休園中で見られません。

中庭のじゅうたん

 先日雨が降り中庭の様子を観察していると,地面が雨水にぬれて緑が一面に広がっていました。中庭の木の下にはコケ類が群生しています。コケ類はたねでなく,胞子(ほうし)というもので増えます。また,オスの株(かぶ)とメスの株に分かれているものもあり,メスの株には胞子体ができます。
 
 コケ類はさらに3つに分けられますが,種類については似たようなものが多く,名前を特定(同定)しようとしましたが,自信がないです。もしご存知の方がおりましたら教えてください。
  

  

  

もち草

 くさもちに使う草は,地方によって違いがありますが,大体はヨモギ(Artemisia indica Willd. var. maximowiczii )という草本類(そうほんるい)を使います。どこにでも生えていて「雑草化」していますが,食用でも薬用でも利用できる草です。
 まず,草もちの材料として使う場合は,やわらかそうな部分をつんで,重そうで煮込んでさらにやわらかくしたものをもちに混ぜ込みます。葉の緑色の発色がよく,香りもよいので春を味わうのにとても良いです。先人の知恵を感じます。
 薬用としては,漢方薬で「がい葉」という名前で使われています。血止めや痛み止め,げり止めとしての効果があるそうです。
 また,葉を乾燥させてくだくと,葉の裏側に生えていた細かい毛が綿のように集まります。それを「もぐさ」と言い,お灸(きゅう)として使われるそうです。
 そのほかに,海や川にもぐるときに使う水中めがねのガラス面に葉をこすりつけると,くもらないという効果もあるそうです。身近な有用植物です。
 
   

チューリップ

 1年生の教材園には色とりどりのチューリップが咲いています。また,2年生の植木鉢にもあり,花びら(花弁)のふちが飾りのような変種が咲いています。
 春の花というと思い浮かぶほど有名ですが,調べてみると不思議なこともいっぱいあります。
    
①チューリップというとオランダが有名ですが,どんな関係があるのでしょうか?
②日本の都道府県でオランダと友好関係を結んでいる都市があります。その都道府 県の花はチューリップです。その都市はどこでしょうか?
③チューリップはふつう球根を植えて育てます。なぜ球根なのでしょうか?ちなみ
に,球根はたね(種子)ではありません。
④チューリップの花びら(花弁)は何枚ありますか?
 チューリップのたねを見たことがありますか?花にめしべとおしべがあるので,できてもよいのですが,実際は花後,次の年のために花を切り取り球根を太らせてほり上げるので,たねが熟す前しか分かりません。ちょうど,多目的室北側にチューリップが自生していましたので,人工授粉しておきましたので,もしかするとたねができるかもしれません。
  
     おしべとめしべ     受粉するとめしべがこんな風に…

木本類(もくほんるい)

 植物の仲間分け(分類)にはいろいろな方法があり,草か?木か?という分け方もあります。今回は木(木本類)についてです。
 南校舎玄関前の植え込みに白い花が咲きました。
 
 この花は,シロヤマブキ(Rhodotypos scandens)と言います。オレンジがかった黄色のことを山吹色(やまぶきいろ)と言いますが,そのヤマブキ(Kerria japonica)とは同じバラ科ですが,「属」が違います。名前にヤマブキとつきますが,ヤマブキの白色花種ではありません。花びら(花弁)は4枚あり,花後に黒い実が実ります。

ゲンゲ

 1年生の教材園で珍しい花を見つけました。実はこの花のタネを3年前,教材園にまいておきました。一面にこの花が咲くことを想像していたのですが,ほとんど育ちませんでした。しかし,育った一部の花がタネをこぼして生き残っていたようです。
   
 この花は,別名レンゲ(Astragalus sinicus L.)と言います。みなさんは別名の方が分かりやすかったでしょうか?
 この花の蜜ははちみつとして売られていることもあります。最近では少なくなりましたが,田んぼに水をはる前に一面のレンゲ畑にし,レンゲごと土にすきこみます。そうすることで肥料(緑肥と言います)として役立ちます。レンゲなどのマメ科の植物は特殊な生態で,根に根粒菌(こんりゅうきん)が着きます。その根粒菌が空中の窒素(ちっそ)をため込むことができるのです(空中窒素固定)。植物の育ちに必要な養分は,リンと窒素とカリウムですので,わざわざ窒素肥料をまかなくても植物が育ちやすいのです。

なのはな

 春になると鮮やかな黄色い花が広がっている畑があります。その植物は「なのはな」と呼ばれています。
 実は「なのはな」というのは,「菜っ葉の花」という意味で,大体はアブラナの花のことを指します。アブラナ科の花は「なのはな」と言われます。下の花の写真を見てください。花びら(花弁)が4枚あり,足し算の「+」のような形にならんでいますので,十字花とも呼ばれます。花のつくりが単純で,花のしくみを知る学習でよく使われます。
 
    アブラナ(Brassica rapa L. var. nippo-oleifera)
 
    オオアラセイトウ(Orychophragmus violaceus)
※ムラサキハナナ,ショカツサイ,ハナダイコンとも呼ばれる。

 アブラナは青木先生が,オオアラセイトウは野澤先生が自宅から持って来てくださり,中庭の教材園に植えてあります。来年はこぼれダネで自生するとよいと考えています。

 花のつくりを観察してみましょう。小学5年理科でも学習しますので,参考にしてください。野澤先生がピンセットで花を分解してくれました。
                       
   アブラナ(写真上側)とオオアラセイトウ(写真下側)の花の分解
   写真左はしから,花びら(花弁)4枚,がく(がく片)4枚,おしべ6本,めしべ1本,
  それぞれの花粉プレパラート,花
 
 さらにミクロの世界から花粉を見てみましょう。おしべの先の突起(葯:やく)の中に黄色い花粉が入っています。一粒一粒の形は,小学校にある光学けんびきょうででも観察できます。下の写真が学校のけんびきょうで花粉を拡大し,デジタルカメラで撮影したものです。
   
     アブラナの花粉(15×40)     オオアラセイトウの花粉(15×40)
 似た形の花粉ですね。この花粉がめしべの先に着く(受粉する)と実ができ,中にタネができます。

 アブラナの若い葉やくきはおひたしなどで食べられますし,セイヨウアブラナ(Brassica napus)のタネは菜種油(なたねあぶら,サラダ油)として活用されます。アブラナだけでなく,同じような花のつくりの植物は,全てアブラナ科です。よく花をかんさつして見つけてみましょう。

ダンデライオン

さて,下の写真の花は何という名前でしょうか?
     
 ほとんどの方が分かったと思いますが,答えはタンポポです。どこでも見られる花ですが,調べてみるととても奥が深い植物です。小学2年生の国語では,「たんぽぽのちえ」という読み物を使って学習します。「ちえ」とはどのようなものなのでしょうか?
・ タンポポにはいろいろな種類がありますが,よく見られるのは外来種のセイヨ
ウタンポポです。ほかにどんな種類があるでしょうか?
・ 日当たりがよく温暖な場所では一年中花を咲かせます。
・ 花が咲くくきのような部分(花茎:かけい)がとても短い個体ととても長い個体があります。どうしてそのような違いがあるのでしょうか?
   
・ 草なのに一年中葉が枯れずに生えています。どのような仕組みになっているのでしょうか?
・ タンポポは綿毛が付いたタネができ,風に乗って分布を広げます。また,根を切ってもその根から新しい葉や茎が生えてきます。なぜこれほど生命力が強いのでしょうか?
   
・ タンポポの根を見たことがありますか?大きなタンポポを見つけたら掘ってましょう。
 夜や雨の日は花がどのようになっているのでしょうか?
        
 学校も至る所に生えています。みなさんの家の近くでも探して観察してみましょう。
 

紫色のベル

             ムスカリ(Muscari neglectum )

 多目的室の北側の地面にブドウの房のような花が咲いています。これはムスカリという植物です(品種はムスカリアルメニアカム。普通は花壇やプランターに球根を植え,観賞用として親しまれている花です。ではなぜこのようなところに生えているのでしょうか?これは想像ですが,以前花壇やプランターで育てていましたが,土を入れ替えるために球根ごと捨てられたのではないかと思います。それが野生化して毎年芽を出し,花を咲かせているのでしょう。花は根に近い方から咲きます。本校では群生していますので,地面をきれいに彩っています。

        

戸祭小の自然の様子

 ホームページをご覧の皆様こんにちは。
 学校が臨時休業に入り,ひと月以上たちました。お子様たちに,そしてご家庭に大変な思いをさせてしまって申し訳ございません。何とか新型コロナウイルスの感染拡大を押さえるためもうしばらくご協力お願いします。

 学習活動では,生活科や理科に限らず,校庭の自然を利用することが多いのですが,時期が過ぎると観察できなくなってしまいます。そこで,本校ホームページの「戸祭小の自然観察利用して,皆様に現在の様子をお届けしようと思います。臨時休業中(土日祝祭日を除く)毎日校庭の見どころをお知らせいたします。

   ホトケノザ(Lamium amplexicaule)とヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)

 春はたくさんの植物が芽吹いたり,花を咲かせたりします。「雑草」呼ばれる草も例外ではなく,あっという間にたくさん生えて群落をつくります。その中でも,似たホトケノザとヒメオドリコソウは,体育館の東側の植え込みに隣り合って群落をつくっています。ホトケノザは赤紫色,ヒメオドリコソウはピンク色の小さな花をつけています。つみ取ってくきの断面を観察してみると,どちらも四角です。これはシソ科の特徴で同じ仲間だと分かります。花の後にできるタネも見分けがつかないほどそっくりです。
 
       ホトケノザ             ヒメオドリコソウ