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2014年1月8日(水)

再び、宇宙へ挑む~はやぶさ2・ミッションマネージャー・吉川真さん~

阿部
「みなさん覚えていらっしゃいますでしょうか?
小惑星探査機『はやぶさ』です。
4年前、絶体絶命のピンチを何度も乗り越えて、地球への帰還を果たした、『はやぶさ』。
世界で初めて、小惑星から微粒子を持ち帰ることに成功しました。」

鈴木
「“奇跡の帰還”として、日本中が沸き上がりましたよね。」

阿部
「そして、今年(2014年)、打ち上げが予定されているのが、その後継機『はやぶさ2』です。
『はやぶさ2』のターゲットは、小惑星『1999JU3』です。
水や有機物が多くあり、生命の起源に迫る研究につながると期待されています。
3億キロ先にある、わずか直径900メートルほどの小惑星へ4年かけて向かいます。
そして『はやぶさ2』は、惑星に降り、砂や石を持ち帰る事になっているんです。
この『はやぶさ2』の取りまとめ役、JAXA(ジャクサ)宇宙航空研究開発機構の吉川真(よしかわ・まこと)さんに、どのような思いでこのプロジェクトに臨んでいるのか、新たな挑戦を前に話を聞いてきました。」

はやぶさ2 2014 打ち上げへ

阿部
「失礼します、おじゃまいたします。
阿部と申します。」

8年前、「はやぶさ2」の検討が始まったときから携わってきた吉川真准教授です。
今年、いよいよ打ち上げに臨みます。

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「誰も行ったことがない小惑星に行きますから、何があるかわからない。
そういうワクワク感がプロジェクトのメンバー、みんな持っているわけですよね。
今回のミッションは、まだ打ち上げ前から、ずいぶん注目されていますので、非常にプレッシャーが高い状況で。」

吉川さんが、小惑星に興味を持ったのは、小学生の時にある物語と出会ったのがきっかけでした。

阿部
「これ、よろしいですか?」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「『星の王子さま』のカレンダーなんですが、これ実は2003年なんですね。
これ非常に大切にしていて。」

前回の「はやぶさ」が打ち上げられた年のカレンダー。
描かれているのは、「星の王子さま」のイラストです。
小惑星から地球にやってきた王子さまの物語。
これが吉川さんの原点です。

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「小惑星のことをずっと研究していて、本当は私自身が小惑星に行きたいなと思うぐらいなんですね。」

阿部
「惑星じゃなくて、小惑星に?」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「私自身も小惑星に行って、のんびり宇宙を眺めることができたらなと。」

はやぶさ2 “世界初へ”新装置

未知の小惑星を目指す「はやぶさ2」。
この挑戦には乗り越えなければならない課題があります。
小惑星は太陽光や放射線の影響で表面の物質が変化していて、思うように石や砂を採取できない可能性があるのです。


はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「実際の衝突装置の内部だけなんですけれども…。」

そこで、「はやぶさ2」には新たな装置が取り付けられています。
「衝突装置」です。

この装置が、小惑星の上で爆発。
金属製のタマを打ち込み、表面を削ります。
そして、太陽光や放射線の影響をあまり受けていない内部の石や砂を採取しようというのです。


実験の映像です。
打ち出されたタマは、秒速2キロにも達し、的の中央を射貫きました。

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「地下ですね、少し掘った地下の物質も採取しようと考えています。
これも世界で初めての挑戦ということ。」

はやぶさ2 “新しいことを”

吉川さんは挑戦を続ける一方で、子どもたちに「新たなことに挑む面白さ」を伝える活動に力を入れています。
日本初の小惑星探査機「はやぶさ」に携わるなど、ずっと小惑星を目指してきた吉川さん。
初めて「はやぶさ」から送られてきた小惑星の写真を見たときの、新鮮な驚きを子どもたちにも感じてほしいのです。

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「はやぶさが(小惑星)イトカワについて、初めて送ってきた画像がですね、全然我々が想定したものと違ったんですね。
(直径が)たった500メートルしかないんですが、それがこんなに岩だらけのものだったのかと、ある意味、感動したんですね。
最近は例えばインターネットを見ると、いろんな情報にあふれているわけですね。
ところがまだまだインターネットで検索しても出てこないことはたくさんあって、ぜひそういった方向に、今の若い人が目を向けて、さらに新しいことをやってほしい。」

2020年 帰還 盛りあげたい

吉川さんの元には、次々とメッセージが寄せられています。

阿部
「こういうメッセージもありますね。
『宇宙へ、心を一緒につれていって』。」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「『僕もがんばるので、ハヤブサもがんばってください』なんてありますね。
ハヤブサ2を見ながら、ぜひ皆さんも、皆さん自身もがんばってほしいと、そんな気もしますね。」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「こういう挑戦をしていくことが、大きく言ってしまいますけど、日本全体の元気を盛り上げていくことにつながるんじゃないかと思ってます。」



多くの人々の期待をのせて、宇宙へと旅立つ「はやぶさ2」。
計画通りに進めば、2020年に地球へ帰還します。

阿部
「2020年ですか?」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「ちょうどオリンピックが終わったぐらいに、『はやぶさ2』が戻ってくる予定ですね。」

阿部
「2020年は東京オリンピックと並んで、ビッグニュースになるであろうと?」

はやぶさ2 ミッションマネージャ 吉川真准教授
「それを期待しています。」

鈴木
「未知なるもの、小惑星にかける吉川さんの強い思いが伝わってきますね。」

阿部
「実際にお話を伺ってますと、誰よりも吉川さん自身が『はやぶさ2』の打ち上げ、待ちきれないといった様子なんですよね。
ぜひ、成功させてほしいと思います。」